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いくつか更新しました

まずは、ORCAによる化学シフトの高速計算の記事を掲載しました。ORCAは、NMR以外でもかなり使えるプログラムだと思います。

あと、「このサイトについて」というコーナーを作りました。目的や、現在の私の計算機環境(記事中の計算時間を読者の環境に換算する際に参考になるかも)を記載してあります。

先月より始めたサイトの整理やほぼ終結しました。ほとんどの記事のURLが整理前と変更になっていますので、記事への直リンクは切れている可能性が高いです。一応、404のページにその辺を書きましたので、迷うことはないと思いますが…

Updated Contents : フリーのプログラム

MOPAC 6.06

CCL (computational chemistry list)で無償公開されているMOPAC 6のちょっと強化版「MOPAC 6.06」をここに公開します。

mopac606_exe.zip
(Windows用実行ファイル(Cygwin/g77でコンパイル), 重原子80/水素原子100)
mopac606_src_diff.zip
(改変・追加した差分ソースコード)
linux_runscript.zip
(linux用入出力補助シェルスクリプト)


MOPAC 6.06とは

Yale大学のJorgensenらによるPDDG (Pairwise Distance Directed Gaussian)法追加版MOPAC 6を基に、同グループから発表された追加のPDDG/PM3パラメータを加え、いくつかの機能追加・バグフィックスを施したのがMOPAC 6.06です。発案およびPDDG/PM3パラメータ追加は佐々木(pc-chem.info)が、.mgf出力やいくつかのバグ修正等は千田(tencube)が実施しました。


MOPAC 6とMOPAC 6.06の主な違い

・既報の全PDDG/PM3パラメータを収載(H, C, N, O, F, Si, P, S, Cl, Br, I)
 ※PDDG/MNDOはオリジナルソースコードに記述済みのC, H, N, Oのみ

分子セットMAE of HOF (kcal/mol)
AM1PM3PDDG/PM3
CHNO6.74.43.2
halogens11.18.15.6
Si11.711.111.9
P18.221.517.9
S10.610.56.4
All10.88.76.5
pddg_ex.gif
・Jmol等で可視化できるFormatted Graphic File (.mgf)の出力が可能
・.arcファイルの電荷の出力バグを修正


公開・利用・再配布条件

・元プログラムに従い、PDS (Public Domain Software)と同様の条件に従うものとします。
 (現行の日本国内の法律では著作権を放棄できませんが、自由な改変・配布を認めます)
・改変したものを公開する際は、ソースコードも公開して下さい。


参考文献/URL

○オリジナルソースコード
・MOPAC 6 (http://server.ccl.net/cca/software/SOURCES/FORTRAN/mopac6_sources/)
・PDDG (http://zarbi.chem.yale.edu/doc/pddg/)
※PDDGのソースコードの利用については原著者に連絡の上、了承済みです。
○文献
・PDDG (C, H, N, O): J. Comput. Chem. 2002, 23, 1601-1622.
・PDDG (Si, P, S): J. Chem. Theory Comput. 2005, 1, 817-823.
・PDDG (F, Cl, Br, I): J. Comput. Chem. 2004, 25, 138-150.


簡易マニュアル

(1)コンパイル方法
1-0. Windowsならcygwinを導入し、g77が使えるのが前提。Linuxでもg77が使えるのが前提。
1-1. ここからMOPAC 6のソースコードをダウンロードし、任意のフォルダに展開する。
1-2. ここからPDDG差分ソースコードをダウンロードし、先のフォルダに上書きする。
1-3. mopac606_src_diff.zipをダウンロードし、先のフォルダに上書きする。
1-4. コマンドライン(cygwin/bashかLinuxの端末)でmakeを実行。
1-5. フォルダ内にmopac606.exeが生成する。
※「SIZES」というファイル内のMAXHEV, MAXLITの値を変更することで、扱える原子数を変更できます
(2)計算の実行方法
2-a. 実行ファイルと同じフォルダ内に入力ファイルを「FOR005」というファイル名で作成し、実行ファイルを起動する。
2-b. Windows上でWinmostarから利用可能。適当なフォルダに実行ファイルを入れ、Winmostarのメニュー[その他]→[パスの設定]で指定する。
get_winmostar.gif
2-c. Linux上での入出力処理にはこちらのシェルスクリプト(bashで記述)も利用可能。
(3)追加機能のキーワード
3-a. PDDG/PM3で計算を行うには「PDG」、PDDG/MNDOで計算を行うには「MDG」を指定。
3-b. Formatted Graphic Fileは「GRAPH」「GRAPHF」どちらのキーワードでも出力される。


連絡先

MOPAC 6.06管理ML mopac606[at]pc-chem.info
※本プログラムに関するご意見・ご質問等は全て上記アドレスへお願いいたします。

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WinGAMESSのSMP環境における並列化

PC GAMESSの並列化については以前に書きましたが、ここではWinGAMESSの簡潔な並列化について紹介します。PC GAMESSとWinGAMESSはどちらも「GAMESS」とつきますが、その中身はかなり違っていて、例えばPC GAMESSではMP3/4計算やRSURFACE計算,Cube出力の実装,そして何より計算が高速なのが特長で、WinGAMESSではCCやNEO,EFP/PCM,NMR,TinkerによるQM/MM,UMP2 GradientなどPC GAMESSより幅広い計算が可能になっています。

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Updated Contents:実例集

ORCAのIGLO法でNMR化学シフトの高速計算

GAMESSを使ってNMRの化学シフトを計算することができますが(記事)、この計算にはかなりの時間とメモリ量を要し、量子化学計算で算出する利点の数々もこのリソース消費との比較で霞んでしまうことがあります。
商用プログラムでは化学シフトの高速計算を実現しているものもありますが、無償で利用可能なプログラムの中にも高速で計算できるものがあります。

ORCA(http://www.thch.uni-bonn.de/tc/orca/)は、ドイツ・ボン大学のFrank Neeseらによって開発・メンテナンスが行われているプログラムですが、このプログラムにはIGLO法によるNMR遮蔽定数計算が実装されています(しかもLinux版では並列化されています)。ORCAのIGLO法によるNMR計算では、GAMESSのGIAO法による計算に比べて圧倒的に計算時間が短く、しかもメモリ消費量も格段に少なくなっています。ppm換算で小数点以下1桁までしか出力されないため、1H-NMRの計算には不向きですが、13C-NMRの計算には十分活用可能です。

果たしてその精度はどれくらいなのか、実際にいくつかの有機分子で計算を行ってみました。

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Aromaticity

高校の化学で習う有機化合物の分類に「芳香族化合物」があります。由来を知らないと何か変なネーミングですが、変なのはそれだけではなく、むしろその化学的性質です。不飽和結合(=π結合)を有するにも関わらず付加反応を受けにくく、むしろ置換反応を起こす。普通の不飽和化合物としての予測よりも燃焼熱が小さい。ベンゼンやシクロペンタジエニルアニオンのC-C結合が全て同じ長さ。こういった芳香族化合物に特徴的な性質を「芳香族性」といいます。 計算化学によって芳香族性を調べることができますが、ここでは
・芳香族性による安定化を実験的に見積もる方法である水素化熱の比較
・異性化反応モデルによる芳香族性の見積もり
・磁気的性質によって芳香族性・反芳香族性を調べる
の3つについて計算例をお示しします。

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