MOPACにおける分子構造の表記法
分子軌道計算の入力には、当然分子構造の入力が必要です。分子構造の記述はいろいろと考案 され、現在でもいくつかのフォーマットが平行して使われています。代表的なものを挙げると、Cartesian座標(直交座標),MOPAC z-matrix,Gaussian z-matrixの3つが有名です。MOPACで主に用いるのはその名前通りMOPAC z-matrix(以下単にz-matrixと表記)です。
最も簡単な例として、ホルムアルデヒドの分子構造をz-matrixで表現することを考えてみます。
各行の数字の並びの意味は、以下の通りです。
「元素記号,結合距離,最適化フラグ,結合角,最適化フラグ,二面角,最適化フラグ,結合距離参照原子,結合角参照原子,二面角参照原子」となっています。参照原子の指定は、定義順につけられた通し番号(炭素が1、酸素が2、一つ目の水素が3、二つ目の水素が4)で行います。
まず、基準となる炭素を基点に置きます。構造パラメータは全て0になります。
次に、酸素を配置します。酸素は炭素から1.23Å離して配置します。この時点では結合距離以外は定義できませんので、他は0になります。結合距離参照原子は炭素なので、1とします。
続いて、水素を配置します。炭素から1Å、酸素との角度は120°で配置します。結合角の参照原子として酸素(2)を指定します。二面角は指定できませんので0です。
最後に、もう一つの水素原子を配置します。炭素から1Å、酸素との角度は120°で配置するところまでは変わりません。二面角は一つ目の水素原子との間で定義します。つまり、1C-2O-3Hで構成される平面と、1C-2O-4Hで構成される平面の成す角が二面角で、180°とします。
最適化フラグというものは、計算実行時に最適化を行う(数値を動かす)か、固定するか、こちらから複数の値を指定するかの3つを切り替えるもので、それぞれ1,0,-1を指定します。通常は1にしておきます。
これが、基本且つ全てです。
最近はz-matrixを気にすることなく分子を組めるソフトが数多くありますが、z-matrixを知っていると細かい調整ができるようになります。Winmostarのように、z-matrixと分子構造を並べて編集できるソフトを利用すれば、z-matrixの勉強にもなります。