NMR化学シフトの高速計算

2019-01-05 0

分光学的に測定される分子のプロパティの中で、NMR(核磁気共鳴)スペクトルは有機化学者にとって最もなじみ深いものではないでしょうか。化合物の構造決定において、X線結晶構造解析、質量分析と並び極めて重要な位置を占めています。 量子化学計算プロ [→続きを読む]

分子軌道を表示する

2015-05-10 0

パソコン上で分子の計算をしようと思うきっかけの一つは、いろいろな分子の形だけでなく、その分子軌道の様子を観察したいということではないでしょうか。 最近の有機化学の教科書では、模式的な軌道図だけではなく綺麗なグラフィックで描かれた分子軌道も掲 [→続きを読む]

芳香族性

2009-05-05 0

高校の化学で習う有機化合物の分類に「芳香族化合物」があります。由来を知らないと何か変なネーミングですが、変なのはそれだけではなく、むしろその化学的性質です。不飽和結合(=π結合)を有するにも関わらず付加反応を受けにくく、むしろ置換反応を起こ [→続きを読む]

ホルムアルデヒドの励起状態計算

2007-11-04 0

分子には基底状態と励起状態があります。多くの有機反応は基底状態で起こりますが、光照射下では励起状態からも反応が起こります。また、紫外・可視スペクトルは共役系の状態を知るために有用な情報を与えますが、これは電子の励起エネルギーを観測しているこ [→続きを読む]

酸性度の計算

2007-05-07 0

「酸性度」というと、色々な無機酸・有機酸の水中でのpKa値を想定される方が多いと思います。よく有機化学では、電子求引性置換基により酸性度が増強されるとか、共鳴構造が多く描けると酸性度が高いなどといった議論がされますが、これらは多くの場合水中 [→続きを読む]

Counterpoise補償法によるBSSEの見積

2007-05-05 0

分子間の相互作用は、計算化学が扱う主要な問題の一つです。単純に考えると、例えばAという分子とBという分子が相互作用してABという錯体を形成する場合、A,Bが単独で存在したときのエネルギーと錯体ABのエネルギーを比較して、その相互作用がどれぐ [→続きを読む]

有機金属錯体の構造最適化

2007-05-01 0

有機合成化学は、Vaska型錯体に代表される有機遷移金属錯体の発見から数十年の時を経て、ようやくその恩恵にあずかることができるようになりました。有機金属とは、炭素-金属結合を有する化合物の総称で、特に、遷移金属との錯体を有機遷移金属錯体と称 [→続きを読む]

GAMESSでQM/MM計算

2007-01-03 0

非常に大きな分子を計算するとき、その計算時間を削減する方法としてQM/MM法が現在有力な方法の一つとなっています。大きな分子においては全ての原子が重要ではなく、多くの原子は立体的な影響のみで、電子状態が重要な寄与を果たすのは一部であるという [→続きを読む]

NMR遮蔽定数

2006-04-23 1

分光法による分子構造決定において、古くからIRスペクトルが重要な役割を果たしてきたことは、IRの章で書いたとおりですが、当然、IRだけでは完全に有機分子の構造を決定することは困難であることが多いのは言うまでもありません。IRが化学結合を見て [→続きを読む]