Frontier Orbital Theory
現在では、分子軌道を使った有機反応の理解がさも当然のように行われるようになりましたが、その基礎を作り上げたのは故・福井謙一京都大学教授です。福井先生が発表した「フロンティア軌道理論」は、化学反応の本質についての、実に簡潔な規則とでもいうべきもので画期的でしたが、当時の有機化学者の中ですぐにこれが自分たちの分野と密接に関連していることを理解できた人は少なかったそうです。
今更言うまでもなく、フロンティア軌道とは、電子対によって占有された分子軌道の中で最もエネルギーの高い最高被占軌道(HOMO)と空軌道の中で最もエネルギーの低い最低空軌道 (LUMO),そして電子一つが占有する軌道である半占軌道(SOMO)の三つを指し、化学反応はこれらの軌道の相互作用を最も重要なファクターとして起こる、というのがフロンティア軌道理論です。
ここでは、いくつかの反応性に富む分子のフロンティア軌道を見ることで、その分子がどのような反応性を示すのかを予測してみたいと思います。