Sn2 Reaction

Sn2反応…有機化学専攻の人なら知らない人はいない、最もベーシックな反応機構です。当然、現象の発見は古く、1986年にドイツのWaldenによって最初に立体反転を伴う反応が発見され(Waldenサイクル)、1920年代にイギリスのKenyonとPhillipsの巧妙な実験によってその現象が証明されました。速度論的な実験は1937年にイギリスのHughesとIngoldによって行われ、この機構はSn2と命名されました。

このSn2反応、計算で取り扱うのが意外と難しいもので、多くの計算化学者を悩ませているらしいです(本当にそんなに悩んでいるかは…ただ、難しいのは確かです)。ここでは、簡単な組み合わせとしてヨードメタンとフッ素アニオンで、Sn2をシミュレーションしてみたいと思います。

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Friedel-Crafts Reaction

Friedel-Crafts反応(アルキル化/アシル化)は、芳香族求電子置換反応の代表選手です。私は大学の学部時代に、学生実験でやりました。アルキル化はカルボカチオン転位やポリアルキル化といった難点を有しており、反応基質が限定されますが、アシル化は反応制御が容易で多くの場合単一の生成物を与え、生成物の多様な変換が可能(カルボニル基が取っ掛かりになる)であるなど、有機合成において有用な反応の一つになっています。

アルキル化もアシル化も、反応の律速段階は最初の求電子攻撃からVieland中間体へのStep とされています。ここでは、アルキル化とアシル化の性質の違いを、律速段階の解析を通して明らかにしていきたいと思います。

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Cope Elimination

Cope脱離は、ペリ環状反応の代表例・Cope転位とは全く異なる反応ですが、協奏的な遷移状態を経るという共通点があります。この反応はもともとアミンオキシドの熱分解によってアルケンを生成する反応ですが、アミンオキシドの分解には高温が必要とされるので、余り使い勝手の良い反応ではありませんでした。アミンオキシドの代わりにスルホキシド/セレノキシドを用いることで、より温和な条件で収率良くアルケンを得る変法が見出されてからは、専らセレノキシド脱離が多用されています。

ここでは、アミンオキシド,スルホキシド,セレノキシドのCope脱離を計算し、活性化エネルギーを比較することで反応の行き易さを見てみたいと思います。

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Diels-Alder Reaction

Diels-Alder反応は、共役ジエンとアルケンが協奏的に付加し、シクロヘキセンを生成する反応です(今更言うまでもないのですが)。この反応は、現在有機化学者が手にしている 6員環合成反応の中で、最も優れたものです。通常Diels-Alder反応は、電子豊富なジエンと電子不足なアルケン(ジエノフィル[ジエン好き]と呼ばれる)との間で行います。

本反応は、一度に二箇所の炭素-炭素結合が形成される反応です。二つの変数を同時に動かすには、STEP/POINT計算がよく用いられますが、今回は二つの結合を等しく伸び縮みさせるために「SYMMETRY」を使ってMEP計算を行います。

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Rotational Barrier

有機化学の教科書で最初に出てくるエネルギープロファイル(反応座標とエネルギーを軸にとったグラフ)は、おそらくアルカンの回転障壁に伴うエネルギー変化だと思います。単結合まわりは、sp3軌道の軸対称の為に回転の自由度が高いですが、それでも回転に伴うエネルギー障壁(ねじれ歪みとも)は非常に重要で、配座を偏らせたり、立体障害が大きい場合には軸不斉のような現象を引き起こすこともあります。

ここでは、エタン(C2H6)とヒドラジン(N2H4)のC-CおよびN-N結合の回転障壁を、反応解析に於いて必須のテクニックであるポテンシャル面走査の手法・ミニマムエネルギーパス(Minimum Energy Path : MEP)計算によりMOPAC2007とPC GAMESSで計算した例を紹介します。

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1重項ビラジカルの構造と遷移状態探索

有機化学の世界においては、対象となる分子の多くは閉殻分子で、かつ反応機構も極性機構で捉えられています。しかし、その枠組みから外れる分子や反応機構も数多く知られています。今後、電子構造や反応機構が見直されていくものもあるでしょう。

計算化学において取り扱いの難しい化学種に「ビラジカル」があります。よく知られているビラジカルといえば酸素分子がありますが、他にも実際に観測されたものや理論的に考えられるものがいろいろあります。これらは1重項・3重項ともに閉殻状態の理論(RHF)では取り扱うことができません。1重項なのに閉殻じゃない、というと変な感じがしますが、実際に1重項ビラジカルは観測されていますし(酸素分子は基底状態が3重項ですが、1重項酸素も光反応等において重要な役割を果たしています)、最も長寿命の1重項ラジカルは日本で生み出されました(広島大・安倍研)。
1重項ビラジカルのような特殊な電子構造を扱うには、複数の電子配置を一緒に考慮する手法が必要です。多数の電子配置を参照する理論を「多参照理論」と呼びますが、ここではGAMESSを使って、そのような理論の一つ「CASSCF(完全活性空間多配置SCF)」の簡単な計算例をお示しします。

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