キニーネの13C-NMR

Computational Organic Chemistryの記事で、MMで配座解析をしてその構造をそのまま使って遮蔽定数の計算をし、ジアステレオマー同士を区別するという方法論の話があったので、MM~遮蔽定数計算の流れを全く一緒ではないですがちょっとやってみました。

1) Balloonで配座解析を行い、再安定から2.5 kcal/mol以内の配座を抽出。他は破棄。
2) ボルツマン分布に基づいて298.15Kでの各配座の存在比を算出し、上位からの積算で存在比が95%までの配座を残し、他の配座は破棄。
3) 残った配座で再度ボルツマン分布で存在比を算出し直し、それぞれのNMR遮蔽定数、化学シフトの計算を行ったうえで存在比で加重平均して計算値を算出。

という感じです。95%とか適当。
NMRの計算はORCA 2.9.1のIGLO法(RB3LYP/IGLO-II,RIJCOSX,Autoaux,COSMO(Chloroform))で実施しました。計算時間は配座発生が1分、遮蔽定数計算が8分/1配座でした。

quinine_nmr.PNG横軸とか縦軸とかいろいろ忘れてますが、横が実測、縦が計算値です。
再安定配座(conf1)に比べて、加重平均(WM)は対角線寄りに補正できていることが伺えます。
通常、化学シフトが大きくなるにつれてずれていく(系統的に誤差が出る)のが一般的ですが、今回の結果はほぼ理想ラインと平行ですね。

 

 

 

bort_xls.PNG

ボルツマン分布の算出はこんな感じです。

これは95%足切り前で、2.5 kcal/mol以内の全配座です。再安定は43%を占めていて、後はちょっと不安定な配座がたくさん。こういうケースでは、再安定配座から化学シフトを計算するだけでほぼほぼ大丈夫そうですね。

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