以前にもベンチマーク的に使っていたOLのこの文献ですが、今回もこれを使ってみます。
前回は確かGAMESSに組み込まれたLCの効果についてだったと記憶していますが、今回はGrimmeのDFT-D3やLPNO-CEPA/1がどうかなという。
アセチルアセトンとβ-ニトロスチレンのマイケル付加(トリメチルアミン触媒)について、原論文のSIに記載の座標を使い、基底関数はcc-pVTZです(Auxiliary basis setとしてcc-pVTZ/JK, cc-pVTZ/Cを必要に応じて使っています)。
論文ではいくつかの共役付加反応の反応熱をG3MP2B3と比較し、SCS-MP2/cc-pVTZおよびM06-2X/TZVPが優れているとしています。
今回、SCS-MP2/cc-pVTZについては全反応ステップの計算を行いグラフに入れましたが、やはり高い精度が期待できるLPNO-CEPA/1やPWPB95-D3がほぼ同じグラフになっています。
GrimmeのD3の効果については、BP86に適用した場合のグラフの変化を見ると一目瞭然で、ずれはまだあるものの、全体的にはよく改善されているでしょう。どうしても遷移状態の高さを低く見積もりがちなDFTの短所は変わりませんが。
SOS-MP2とのDouble-HybridであるPWPB95はDFT-D3なしでも割といい線いっていて、DFT-D3の追加でSCS-MP2やCEPA/1にかなり迫ってきます。
CEPA/1も精度のわりに随分速いですが(このサイズの系で9ステップもの反応を、1点計算だけとはいえ半日かからず終えられるとは!)、SCS-MP2やPWPB95-D3の10倍近くはかかってます。この反応系においては、SCS-MP2が精度と計算時間の兼ね合いからは良い選択になっているようです。
[変更履歴] 2013/2/18 PWPB95 (DFT-D3なし)の結果を追加しました
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