MP4のnumerical gradient

Fireflyはver.8からnumerical gradientが実装されています。
どのプログラムでも大体実装されている機能ですが、ver.8からとは意外ですね。これを使えば、analytical gradientが実装されていないMP4やMCQDPTでも構造最適化が行えます。

諸手を挙げて喜んではいられません。”numerical”なので、実際に座標をわずかに動かしたときのエネルギーを計算してgradientを求めます。ということは、ただでさえ非常に重いMP4等を凄い回数繰り返し計算しなくてはならないわけで、自ずと非常に小さい分子にのみ適用可能だということが理解できます。

実際、いかほど時間がかかるのか。Thiophene (C4H4S)でgradientを計算してみました(MP4(SDTQ)/Def2-SVP)。

・対称性設定なし(C1) 408.7 sec (6.8 min)
・対称性設定あり(C2v) 73.1 sec (1.2 min)

これが構造最適化の1 stepあたりにかかる時間と考えると、Thiophene程度であればもう少し基底関数を大きくしても十分やれそうです。もっとも、そんな大きな分子で大仰なモデル化学を使うこと自体にあまり意味を感じないので、これ以上追求しようとは思いませんが…^^;

ちなみに、Ne2の構造最適化を行ったところ、MP4(SDTQ)/aug-cc-pVTZで31.3 sec (3 steps)で終了し、Ne-Ne距離は3.1012 Åでした。ほぼ実測(NIST webbook参照)と一致しています。

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