備忘録:励起状態計算あれこれ

[本記事は私が以前書いていたblogからサルベージしたものです]

忘れないうちにメモ。

(1) FireflyのMCQDPTで、MCQFITを有効にしたときに大きな誤差(?)が出ることがある。
ベンゼン(C6H6, D2H対称で計算)のAg状態を計算する際に、MCQFITを有効にする/しないで全く異なる結果。(基底関数は6-31+G(d))

基底状態 励起状態(π-π*) dE (eV)
MCQFITなし -231.4815265 -231.2035209 7.565
MCQFITあり -231.4815265 -231.9410654 -12.505
MCQFITあり
npoint=800
-231.4815265 -231.138789 9.326
MCQFITあり
npoint=1200
-231.4815265 -231.2011871 7.628
MCQFITあり
npoint=2000
-231.4815265 -231.2035767 7.563

dEの実測は7.80 eV。MCQFITグループのnpoint(デフォルト値=400)を増やすことで結果が大きく改善される。MCQFITは大規模MCQDPTの高速化が目的だから、こんな小さい系で使う意味もない。
Diffuse関数が無いときは、こんなことは無かった、かも。

(2) ORCAでCIS(D)計算をやってみた。
計算時間が大して増えずにかなりの改善。ホルムアルデヒドのn-π*遷移は6-31+G(d)基底で4.083 eVと実験値を完全再現。(D)補正がないと4.604 eV。

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