ストリキニーネの13C-NMR

構造がかっちり固まっていて適度に化学シフトがばらけているアルカロイドは、NMR計算の検証にもってこいの分子です。つい最近キニーネで配座解析→化学シフト計算という流れをやりましたが、今日はもっと簡単な、配座が一つしか取れない分子の計算です。

そんな例としていつもストリキニーネ(Strychnine)を使います。配座がっちがち。Strychnine_13CNMR.PNG

構造最適化はFirefly 8 (RB3LYP-D3/6-31G(d),PCM(CHCl3))、遮蔽定数の計算はORCA 2.9.1 (RB3LYP/IGLO-II,AutoAux,RIJCOSX,COSMO(Chloroform))で実施しています。これは現在の私のスタンダード。

結果は右図の通りなのですが、非常に良く合っています。しかし、これだけ合っているのに妙なズレを示している赤いところが気になります。で、元データを見返すと…

 

ちょうど両者が入れ替わっていると実に良く合うわけです。実験値はAISTのSDBSから持ってきていますが、もしかしてピーク帰属間違えてるんじゃ……Strychnine_13CNMR_xls.PNG
(Northeastern Illinois Universityのとあるpdfファイルでは、入れ替わった形で(=計算値に合うように)帰属されているように見えます。いずれにせよ、構造決定に関する論文ちゃんと調べてみたいと思います。)

 

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