TINKERでUFFが使えればいいのに…とずっと考えているのですが、UFFを使って遷移金属錯体の構造最適化を行うことができるフリーソフトがありました。ArgusLabです。
以前から名前は知っていましたが、トップページに「A molecular modeling, graphics, and drug design program」と書かれていて、実際ドッキングとかができるのでそういう方向性のプログラムだと思っていました。ところが、今日会社でUFFのことを調べていたら(おいおい)、Scirusの検索でArgusLabのヘルプファイルの内容がヒットして、そこにUFFが使えると書かれていてビックリ。
UFFは分子力学ですから、それぞれの元素には軌道の混成に応じたパラメータがあります。用意されているのは典型的なもので、特殊な錯体は扱うことができませんが、よくある構造は概ね良い精度で最適化できるようです。
ちょっとしたバグがあって、周期表パレットからPdを選択して追加しようとすると、エラーを吐いて落ちます。予め別の金属(NiとかRhとか)で作って、元素を後から変えることでPdの計算はできます。原子のラベルが最初の金属のままなので(計算上は支障はありませんが)ついでに原子の名前をPdに変えておく方がよいかも知れません。
Cyclopentadienyl基は、Cを「sp2, aromatic」とし、金属原子と5つの炭素全てを結合で結んでやることできちんと計算されます。
計算は、ツールバーのベンゼン環ボタン(プサイの隣)か[Calculation>Optimize Geometry]で設定ダイアログを表示、実行します。普通の有機分子ならMOPACも使えます。
これで初期構造を作れば、計算がよりスピーディーに行えるかもしれません。ちなみに、Gaussianへのジョブポスティング機能がありますので(しかもONIOM対応)、GaussViewを持っていない方にもおすすめかも。残念ながらGAMESSは非対応。
—-追記—-
最適化した構造を他のソフト(WinmostarとかFacioとか)で使うときは、xyz形式での保存をお勧めします。pdb形式は元素記号が正しく反映されません。
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